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かたくなないなたさ


靴を生業にしだして早や13年の年月が流れた。販売を4年、マシンメイドの靴を8年あまり。そして現在、ハンドメイドの製法を学ぶため西成製靴塾へ。入塾してから、靴業界に身を置く知人や先人によく質問される言葉がある。「何故、今更ながらにハンドメイドなの?」と。僕も今まで、まがいなりにも量生産の靴をやってきたのでその質問の意味はよくわかる。

現在、市場の大半を占めるのはマシンメイドの靴。各メーカーでは日産数百足にも及ぶ靴がライン制御され製造されている。一デザインに対して数を作れば作る程コストも下がり、売り場に並ぶ価格も下がる。
一方、ハンドメイドの靴においては、日産どころか3日で1足。3日と言っても実作業日数で、吊り込んだ靴を寝かしておく日にち等を考えると、1足上がるまでに約3週間を要する。月産数十足?全くを持って効率はよろしくない。単価は上がる。

冒頭の「?」は、そんな非効率な手縫い靴を何故今更ということだろう。

アッパーを吊り込み、底を包丁を使い整えていく。創り人がまさにその時を生きている証が形としてくつになる。揺れながらぶれない。そんな生々しくて力強い手縫い靴に魅力を感じる。ぼくがハンドメイドのそれに思いを馳せているのは、人が手で作る「かたくなないなたさ」。量産の靴にないそれに取り憑かれているからなのです。
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