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『 kokochi sun3 / OTO / コードバンスプリット・白なめし 』

 

kokochi sun3 / OTO / コードバンスプリット・白なめし

 

仕様

アッパー:コードバンスプリット・白なめし

紐:ロウ引き2ミリ・白

ソール:SPレザーソール

三つ編み:#9ホワイト

ミッドソール出縫い:#9ホワイト

アウトソール出縫:#9ホワイト

 

価格

本体:85000円

コードバンスプリット:10000円

合計:95000円(102600円税込)

 

その他

サンプルで作成したサイズ:24.0センチ

納期:約3ヶ月

 

 

 

 

 

 

かれこれ20年前、情熱だけで作った靴があります。

当時は革が買えないのでジュートをアッパーに、木型は長田のメーカーで片足だけ譲ってもらいました。

 

そういえば、

母親の大事なミシンでアッパーを縫っていたら、モーターから煙が出てきて、

壊れてしまったってこともありました(とても怒られました 笑)。

 

また、当時はインターネットなんてなかったので、長田のメーカーに飛び込んでは、

型紙を切る職人さんの手元を1日中見て家に帰り、見よう見まねで型紙をおこしたりしていました(嫌な顔をされていました、ごめんなさい・・・苦笑)。

 

「お気に入りの自作靴は?」と問われれば、

迷わず「その時に僕が作った靴」と答えます。

何故かというと、そこには無邪気さと純粋さが宿っているから。

 

どこのどのラインが無邪気さで、

どこのどのカタチが純粋さなのかは、

どれだけ分析しても未だにわからなく、

僕は過去の自分が作った靴に魅了され、嫉妬され続けてきました。

 

しかし今回の「コードバンスプリット・白なめし」仕様の新作を作ることで、僕はその呪縛から解放されたのです。

 

 

 

 

 

 

 

・呪縛から解放されたキーワードは「タブー」

 

IMG_1400.jpg

 

コードバンスプリットとは、コードバンを分割(スプリット)するという意味。

一般的な製品のコードバンとなるのは、皮膚側(毛の生えている上層)です。

 

そして今回使用したのは、その一般的なコードバンを取った後に余った、肉により近い部分。

本来なら廃棄してしまう場所をなぜ使用したのか。

それは革の表情にありました。

 

出来上がった革をよく観察すると、スムース部分とスエード部分が、まるでグラデーションを描くように変化していっています。

今までさまざまな革を見てきましたが、こんな状態は初めて見ましたし、鳥肌が立つほど興奮しました。

そしてなにより、コードバン層(=スムース部分)になめしたはずの白いタンニンが入りきっていないので、革の地色(ナチュラル)がうっすら残っているのです。

 

スムースからスエードへ。

ナチュラルからホワイトへ。

この見たこともないコントラストの美しさに魅了されてしまいました。

 

 

 

 

 

IMG_1404.jpg

 

しかし、この部位を使用するのはかなり困難です。

何故かというとかなり分厚いからです。

 

最も厚い箇所で約4ミリ。

通常の kokochi sun3 で使用する革が約2ミリなので、その厚さには驚きました。

 

この4ミリ厚の革、「漉いてしまえばいいじゃないか」と聞こえてきそうですが、そうはいきません。

如何せん肉に近い革の繊維は裂けやすいからです。

 

靴にしてはいけない革。

いわゆるタブーとされている革に出会ってしまったわけです。

 

 

 

 

 

IMG_1403.jpg

 

それからというもの、コードバンスプリットを工房に持ち帰り、4ミリ厚の革をどのように靴にするか。

さらにはコードバン層の鞣って(なめって)いない、とても硬い部位をどのように吊り込むかが課題となりました。

 

毎日毎日考えましたが答えなど出ません。

当たり前です。薄くすれば裂けますし、厚いままなら木型に沿わず吊り込めないからです。

 

そうこうしている間に、思わず目に入ってきたのが、約20年前に作った「情熱だけで作った靴」でした。

その瞬間、今まで培ってきたたくさんの知識や知恵が崩壊した音(OTO)が聞こえたようでした。

 

20年前の靴はとても履けたしろものではなかったですが、純粋で無邪気な美しさがありました。

そう、純粋で無邪気な美しさの理由はタブーだったのです。

 

 

 

 

 

 

 

このコードバンスプリットを使用した靴のアッパーは、木型に沿ってはいませんし、厚さも1足でまちまちです。

ライニングやその他諸々の必要な箇所は最善を尽くし木型、足なりになるように手を加えました。

結果、他の革を使用した新作にやや劣りますが、フィッティングのよい靴に仕上がったと思います。

 

きっと今までだったら、どれだけ美しくとも、ここまでイレギュラーな革は使わなかったと思います。

ですが何故か挑戦したくなったコードバンスプリットという革に出会えたことに感謝します。

 

 

 

 

 

IMG_1401.jpg

 

ときに知識や経験は、創造を妨げます。

知れば知るほどに「やってはいけないこと」が増え続け、それが創造を妨げるのです。

 

新作を作り終え、僕はようやく、自らが作り出した20年前の呪縛から解放されました。

そう、知識と経験を逆手に取り、タブーを味方につけたのです。

 

あまりにもウェイトを占めていた20年間のしがらみから放たれた暫くは、

挑むものがなくなった挑戦者のようにすっぽり心が抜け落ちていましたが(笑)。

 

 

 

 

 

 

OTO-DMオモテ.jpg
イベント詳細は画像をクリック

 

 

16日から始まる工房での受注会タイトル「これまでと、これから。」。

その意味を理解いただけたでしょうか。

 

今回の記事は「これまで」の靴に決着をつけた1足のことをご紹介させていただきました。

そして「これから」の記事も後日アップさせていただきますので、どうぞお付き合いください。

よろしくおねがいいたします。

 

靴作家:森田圭一

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イベントスケジュール

9月16日(土)〜9月19日(火) 『 kokochi sun3 新作受注会 』@ こうべくつ家・兵庫県神戸市

 

8月19日(土)〜8月27日(日) 『 路地裏の靴作家 vol.11 』 @ 神楽坂インタレスト・東京都新宿区

 

6月28日(水)〜7月3日(月) 『 夏の創りびとたち展 』@ 新宿伊勢丹・東京都新宿区

 

6月9日(金)〜6月18日(日) 『 kokochi sun3 受注会 & 1DAY ワークショップ 』 @ sanbi・福岡県北九州市小倉

 

5月27日(土)〜5月28日(日) 『 クラフトフェアまつもと 』 @ あがたの森公園・長野県松本市

 

5月17日(水)〜5月22日(月) 『 日本のものあわせ 』 @ 札幌大丸

 

4月29日(土)〜5月7日(日) 『 10周年 』 @ こうべくつ家・兵庫県神戸市

 

4月8日(土)〜4月16日(日) 『 路地裏の靴作家vol.10 』 @ 神楽坂インタレスト・東京都新宿区

 

3月27日(月)〜4月1日(土) 『 2回目の受注会(仮) 』 @ ブティックプチ・兵庫県川西市

 

2月11日(土)〜2月28日(火) 『 初めまして北九州! (仮)』@ sanbi・福岡県北九州市

 

1月25日(水)〜1月29日(日) 『 路地裏の靴作家 SP(仮) 』@ 神楽坂インタレスト・東京

 

1月7日(土)〜1月15日(日) 『 kokochiよい靴音 vol.4 』 @ BLUE NEON

 

*日程等予告なく変更する場合があります。

 

 

 

 

 

 

 

こうべくつ家 
 
所在地:神戸市須磨区須磨浦通5−5−24

お問い合わせ:mail@kutsuya-koubou.com / 078-732-7740

ウェブサイト:http://www.kutsuya-koubou.com 

オンラインショップ:http://kokochi333.fashionstore.jp/ 

フェイスブックページ:https://www.facebook.com/kutsuya.koubou/

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