2021年2月より新ブログ・サイトにて更新中。本ブログは2021年2月までの記事を掲載しています。
オールソール交換の依頼をいただきました。
オーダーをいただいたのは10年近く前だと記憶しています。
サイドのゴムを交換しようと持ち込まれましたが、この機にソール交換もすることに。
まずはソールとアッパーをばらし、アッパーのゴムとカウンターの補強を。
その後、新しい中底を使い吊り込み、底付へ。
ソールはマッケイ製法から、ハンドソーンウェルテッド製法へ。
「遊び心ある靴」から「端正な表情の靴」へ変身。
履き込んだ、味のあるアッパーと、とても相性が良いみたいです。
オーナー様との付き合いは、靴をお渡しした時から始まり、続いていきます。
その中でお渡しした時より、よりフィットする靴の加工をさせていただく場合もあります。
今回はウィズ(足の横幅)の狭いモデファイドラストを使用したり、
カウンター芯の厚みを調整したりと、オーナー様の足のサイズ感や、履き方を考慮。
大掛かりな作業だけに、大胆な仕様変更が可能となりました。
今回のリペアで残った元のパーツはアッパーのみ。
他は全て新しい素材です。
ここまでのリペアとなると高価になるので、いっそのこと、
新しい靴をオーダーしてはとご提案させていただきましたが、
長く愛用してきた靴と、これからも過ごしたいとのことで、オールソール交換となりました。
例えば長く履き続けたその先。
少し歳をとった足元の相棒が、鏡のように履き手を写します。
靴についたいつかの傷が、履き手の記憶を呼び戻し、
匂いや場面を思い出させてくれるその瞬間、何故か堪らなく愛おしくなります。
長く使い続けられる靴でなければ。
その思いで日々靴作りに励みます。
このことを新ためて気づかされることとなった、今回のリペアに感謝いたします。
「美しい日用品としての靴のあり方」を、これからも探究し続けます。
因みに画像のキャメルの革が、もとのお色です。
美しい経年変化です。
リペア に関しましては、こちらよりお問い合わせください。
靴作家・森田圭一
こうべくつ家
JUGEMテーマ:handmade