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製靴塾日記 2006.10.10~10.13

西成製靴塾、2週目。まだまだ驚きと発見の毎日で、今まで以上に靴の奥深さを知るのであります。

からげ
2006年10月10日(火)
「チャン!」言うてアッパーと中底をからげる。チャン、チャンと執拗に言うても一向に返事なし。長田の貼工さんよろしく、コロのついたダイゴローころころと、チャン違いではあるが少し懐かしくなる今日この頃。朝から夕刻までからげ続けながら、週明けにも関わらず、酸欠にてトリップ・・・。

2006年10月11日(水)
稽古の意味を知る事、師の手さばきをまねる事、失敗の理由を知る事。靴を作る仕事に携わりだした頃からずっと習慣にしてきたそれが今、実を結ぶ。毎日考え、見て、マネる。どんなに体調悪くても、これだけは怠りまへん。本日、アッパー縫い、先週より少し前進。脱線はもう、しまへん(苦笑)。

2006年10月12日(木)
革断ち、アッパー作るも少し気になる事。張り込みの時の手違い?オモテよりウラの方が吊り代多いで・・・。「ヤバイんちゃいます?」と師に問うてみて納得。ウラの吊り込み代が大きくとて、タックスを打ちながらの吊り込み。その後、アッパーは中底とからげるのであってウラが少し大きかろうが、さして問題はないのである。機械吊りやったらドエライコッチャで(笑)。制作段階にて、ハンドメイドであるが故、多くの回避できる道がある事を知る。日々収穫。

2006年10月13日(金)
マッケイ、底とアッパーを糊で付けた後、切り回し。大きめに断った底の側面、切り回し万年。されど悪戦苦闘。包丁片手に目先の角度と手首の回し加減など、などなど・・・。考え悩んだあげくに、見つけた自分なりの正解論。もはや意気衝天(笑)。

シューケア〜トリッペンをカスタマイズ?〜

トリッペン用クリーム
私は靴を購入後、まずシューケアをします。「新品やのに?」って思われる方もいらっしゃるでしょう。でもよく考えてみてください。製造工程を経て完成された靴にはもちろんシューケアが施されます。その後、工場を出て問屋さんへ。そこからショップ。店頭から私たち消費者の手元に届くまで約数週間、いえ、数ヶ月などというものもざらではないでしょう。その間に革の潤いは失われていきます。なので購入後にはすぐシューケアです。

それでは、この間購入したトリッペンにお化粧です。今回使用したシューケア用品は、「モゥブレィ/ステインリムーバー(汚れ落とし)」と「モゥブレィ/デリケートクリーム」。
アッパーの質感はマットなブラウンで、クリームがよく染み込んでいきそうな革です。普通ならアッパーと同色かそれより少し薄い色のクリームを使うのですが、それだと今よりも艶が出てきそうだったので、今回はあえてソフトレザー用の無色を塗って、マットな感じに仕上げてみようかと。履き込んでいって、使い古した感じになってきてから、同色かそれより少し濃い色で仕上げるとアンティークっぽい風合いになるかなと。

今回はまず軽く埃を落としてから、ステインリムーバー(画像左)を布に取り、古いクリームや汚れを落とします。その後、今回はデリケートクリーム(画像右)を使い、靴に塗り込んでいきます。そして最後は空拭き。デリケートクリームは乳化性の靴クリームよりも、つやのもとであるロウ分が少ないため(水分が多いため)、自然な風合いを出すのにはもってこいです。私はかなりの頻度でこれを使います。

持論になりますが、靴クリームのチョイスは好みの問題で、購入した靴を自分のスタイルに合わせてどうカスタマイズするかって事だと思ってます。なので、今回のトリッペンのカスタマイズ計画は、マットな風合いをしばらく楽しんで、クタクタになってきたらダスキーブラウンあたりの色でツヤをだしてアンティーク調に(笑)。簡単な事なのですが、これで靴の表情が変わってくるのですから不思議で楽しくて。

いやいや、革や靴。
のめり込むと抜け出せません。

製靴塾日記 2006.10.2~10.6

ハンドメイドの靴に触れ、もっと靴や足の事を知りたい。『良い靴』を作りたい。そんな思いを胸に、西成製靴塾に10月から途中入塾。無理を言って入れてもらいました。三十路にて塾生、日々奮闘日記などをこれから書いていこうかと。


2006年10月2日(月)
のっけからマッケイ、マッケイ言いながら中底を削る。柄にもなくメモ長などを持ち出しメモる。脳みそは三十路にしてフル回転。あまりにも考えすぎて久々に酸欠にて本日終了。

2006年10月3日(火)
ミシン、ミシンと曲がりきれぬカーブにて脱線。午後になるも延々と脱線、日暮れまで。本日支給された革を使い切り、帰り際、補充された裏革。明日こそはと涙飲みながら岐路へ。

2006年10月4日(水)
今日も朝からミシン。断つ→縫う→さらうをずっと繰り返すも進歩なく、口をついて出ることばは「悔しい・・・」ばかり。帰り際、そんな三十路に我が師が一言「稽古したら稽古したぶんだけ上手になんねんで。」と、ポンと肩たたかれる。帰り道、やはり悔しくて悔しくて、一目はばからず溢れ出す涙。

2006年10月5日(木)
ナントカ、カントカ甲革1足つくる。出来上がったシロモノ、見るに絶えずガマンならずもう一足つくる。故仰木彬氏の座右の銘「信汗不乱」が頭をよぎる。そう、稽古は裏切らへんのです。けいこ、けいこ、けいこ・・・。いえいえ、人の名前やありまへん(笑)。

2006年10月6日(金)
得意のつり込み。水を得た魚とはこういう事なのでしょうか。床ベロアにホワイトボンドつけ、カウンターにいれてつり込む。わにのあたま、あまりにも幅広く細かいダーツを作れないので塾終了後、師とともに削る。道具を自分なりに合わせていくというのは実に楽しい。削りながら師とともに笑う。至福のとき、味わう。

職人ことばの「技と粋」

「職人ことば」
この本は、直接靴に関わるそれではなくて、旋盤工、鍛冶職人、大工などの「ことばと粋」が詰め込まれています。読み進むにつれ、寡黙な職人さん達のモノをつくる意気込みや智恵、考え方を靴作りに置き換えてみれば、なるほど。「つくる」事のおもしろさや奥深さを再認識させられるのでした。

そこで、この世界で8年、見習工ではないのだけれど、職人でもない。いわば「半職」の僕に、本書の言葉をかぶしてみたらこうなった。

◎裁断場にて急ぎのアッパーを断ち、ミシン工さんの所へ。無事、その日中に靴になってホッとした後に気づいた。さっき断ったアッパーの中敷きがない。ついでに断っとけばよかったな、とまた裁断場へ。性懲りもせず『空足(からあし)』をするのです。

◎就業後、明日の段取り。アッパー、底、ボール(中底)、ヒール・・・。訳分からぬ言葉、ブツブツ言いながら数時間。これを怠ると次の日、貼り場は修羅場へと換わります。『段取り八分』とはよく言ったものです。

◎「がんばれ、おい、もっとがんばれ。」トゥー・ラスターに向かって気合い注入(笑)。いつも同じ部位に不具合が出て、上手くつり込めません。機械屋を呼び、治してもらっても、次の日にはまた同じ。そんな状況を見ながら本書の「ことば」を思い出しました。『機会は上手や。くたびれへん、汗出しよらん、涙も出さへん、(そやけど)失敗を肝に銘じよらん。』 

職人ことば、粋なことば。意味を知れば知る程わくわくしてきますし、少しずつでもそこへ近づいていきたい。そんな思いを馳せながらね。

トリッペンの履き心地

トリッペンの皺
トリッペンを購入して約一週間が経ちました。今週は外出する機会が多く、一日おきに履いていました。画像では分かりにくいですが、少しだけ履き古したカンジが出てきたかなと。特に甲の部分と、踵からくるぶしにかけて。

履き心地はやはり良いです。アッパーの革は「伸びた」というより「なじんだ」という感じです。一週間にして足に「なじんだ」のは、おそらくアッパーに裏革(ライニング)を施してないからなのでしょう。足が疲れやすい体質の僕にコイツはすぐにフィットしてくれたので、この一週間さほど疲労感もなく、快適に歩行できたのではないかと(感謝感謝)。

そんな新しき相棒。もっともっと履き込んでトゥーが反り上がって皺だらけになって、そんでもって、じいちゃんの顔みたく、目尻にシミなど出来てたり(笑)・・・。

ステキな靴と一緒に、ゆっくり歳をとっていければねぇ〜
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