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西成製靴塾日記 2006.10.23~10.27

ヒール周り西成製靴塾、はやくも4週目が終了。悪戦苦闘の日々はまだまだ続くのです、ハイ。

2006年10月23日(月)
マッケイ、伏せ縫い終了後、面取り。必死にコバの側面、ヤスリかけ続け、ふと気づく・・・。あらま、削りすぎてコバおまへんがな(涙)。ドエライコッチャなくつになってますけども、まぁ、「失敗は成功のもと、と先人達も言うとる事やしねぇ。ズッコけてもポジティブ・シンキングやねんっ」と意味不明な解釈にて本日終了。

2006年10月24日(火)
大ザッパ、柄にもなく早朝から左脳フルスロットル。モータースポーツよろしく、正午まじか、煙吐きながらピットイン。午後、ギアチェンジ誤ったヘアピンにて、あっけなくスピン。よって左脳とうとう炎上。その後、煙、吐き続けながら帰途。

2006年10月25日(水)
朝からミシン。カウンターまわりクルクルと縫い続け、クモの巣のような縫い跡。それ見ながら、「コノステッチ、サッカーシューズヤノネンッ!」と今日は右脳独創。デッサン、脳のおもむくまま。線、走らせながら、オパンケにてマッケイということで。先芯、無い方がッポイかもねェ〜と、本日も無事(?)終了。

2006年10月26日(木)
今日は自習。週に二回程あるこの時間ははとても貴重。「あ〜、この革つやつやでイヤよね」と加工する事小一時間、ごしごし。で、昼前より秘密の特訓再会。小生、もう気になった事は片っ端からやってのけるのであって、「革くん、ラストくんには申し訳なく思ってるよ、うんうん」などと、石橋を叩き割りながら渡っておりますワイ・・・。

2006年10月27日(金)
一枚一枚、積み上げるヒール。履いた時の、つま先の接地面と、トップリフトの快適なバランスをイメージしながら慎重にてワクワクドキドキとドーパミン放出。「♪キリ、キリっ、ときりまわし〜」等と脳内スクラッチ鳴りやまぬ週末。なんとか4週目無事終了後、懲りもせずドリンカー、バイト先より「早よ飲みたいワイ」と長田のアニキにメールすると、すぐさま返事。「かまへんわい、飲んでまえ〜」と愛すべきアニキ。オソルベシ・・・。

夢の靴職人―フェラガモ自伝

フェラガモ自伝
「あなたの足が変だとすれば、それは靴が悪いからです。」とのっけからそんな事言われちゃあ、靴好きは読まない訳には行きませんよね(笑)。内容は破天荒なフェラガモさんの自伝です。靴職人見習い時代から、開業、そして現在のフェラガモブランドが出来るまでを綴っておられます。僕は、この本を読むまで、あまり「フェラガモ」という靴の事をよく知りませんでした。

が、しかしです。何ともサルバトーレ・フェラガモさんの情熱的だこと。ブランドの成功で、富を得た後にでさえ、靴に対しての探究心は色褪せる事なく、よりいっそうの意欲を持って足と靴に向き合っている姿に心打たれました。素材や製法はもとより、履き心地のよい靴、疲れない靴の選び方など、余す事なく記されています。

サルバトーレ・フェラガモ。僕のフィルターを通してみると、「何て直感的な人なんだろう!カッコイイ!!」ってカンジですかね(苦笑)。僕自身、どちらかと言うと直感的に行動するタイプなので、彼の行動や言動は非常に好感が持てます。生きていれば是非お会いしたい方の一人と言いますか、なんというか。

あらゆるジャンルの、情熱的なモノ作り人達、一度目を通してみてはいかがなものか(笑)。

製靴塾日記 2006.10.16~10.19

アッパー3週目も終了し、目の前には早々と高い壁がある事を実感してます。でも、怖じけずいたりはしませんよ。ぶつかってって、はじき飛ばされ、毎日バンザーイと帰途につくのです(笑)。

2006年10月16日(月)
朝からマッケイ底面の伏せ縫い。もう、なんだかんだ言う前にやってみる。そしたら案の定失敗。でもってしばし反省。気を取り直してもう一回。次、少し上手になる。そんなこんなの繰り返し。数をこなせばこなす程に手先は安定し、頭は記憶していく。どこまでもいきますよ〜。イメージと手先がリンクするまで。千本ノック、どんとこいでっせ。

2006年10月17日(火)
後乗りの16ビートにてアッパー縫う。作業中のリズムは大切、半クラッチでスキ機と腕ミシン。ギリギリと力むよりも軽いタッチで「ライド〜ン」言うてた方が性に合っているよう。アッパー、少しだけ脳みそとリンク。だんだんと様になってきたそれに舌鼓・・・は打ちませんが(苦笑)。

2006年10月18日(水)
アッパーにパイピング。思いつきでやってみるも、いやはや苦戦。「ソコスクカ?ア、イヤマテヨ、ンデカラドウスル?」ワケワカメにて自らと葛藤の嵐ヒュウヒュウ。ミシン、もう脱線しないかわりにカリキュラム、ちびっとだけ脱線し、パイピングの何たるかを知る本日、4ビートにて終了。

2006年10月18日(木)
「お勉強できん子は、ついてこんでよろしい」と一人、遠足行けず自習(笑)。のっけから広い教室に2人。師と供に語らう。靴について、産業について、人生について。
師は、今まで歩んできた莫大な経験や知識を、むき出しのままことばで僕に伝える。惜しげもなく、なんの気なく。丸裸の自分は、なんと坊主でちびっこなのだろう・・・。締めの師のことば。「技だけを学ぶんやないで、人生も学ぶんや。」三十路、最近は泣上戸である。

2006年10月19日(金)
大ザッパが故ビーフハート。「なんのこっちゃねん」と底周りの作業。こうなるだろう事がああなって、ああなるであろう事がそうなる・・・。脳と手先が合致しないまま、袋小路にて、悶々とモンモン。悔しいので道具一式詰め、週明けまでにはと帰宅。

(画像、月曜日の帰宅後アップしますので、しばしお待ちくださいね)

製靴塾日記 2006.10.10~10.13

西成製靴塾、2週目。まだまだ驚きと発見の毎日で、今まで以上に靴の奥深さを知るのであります。

からげ
2006年10月10日(火)
「チャン!」言うてアッパーと中底をからげる。チャン、チャンと執拗に言うても一向に返事なし。長田の貼工さんよろしく、コロのついたダイゴローころころと、チャン違いではあるが少し懐かしくなる今日この頃。朝から夕刻までからげ続けながら、週明けにも関わらず、酸欠にてトリップ・・・。

2006年10月11日(水)
稽古の意味を知る事、師の手さばきをまねる事、失敗の理由を知る事。靴を作る仕事に携わりだした頃からずっと習慣にしてきたそれが今、実を結ぶ。毎日考え、見て、マネる。どんなに体調悪くても、これだけは怠りまへん。本日、アッパー縫い、先週より少し前進。脱線はもう、しまへん(苦笑)。

2006年10月12日(木)
革断ち、アッパー作るも少し気になる事。張り込みの時の手違い?オモテよりウラの方が吊り代多いで・・・。「ヤバイんちゃいます?」と師に問うてみて納得。ウラの吊り込み代が大きくとて、タックスを打ちながらの吊り込み。その後、アッパーは中底とからげるのであってウラが少し大きかろうが、さして問題はないのである。機械吊りやったらドエライコッチャで(笑)。制作段階にて、ハンドメイドであるが故、多くの回避できる道がある事を知る。日々収穫。

2006年10月13日(金)
マッケイ、底とアッパーを糊で付けた後、切り回し。大きめに断った底の側面、切り回し万年。されど悪戦苦闘。包丁片手に目先の角度と手首の回し加減など、などなど・・・。考え悩んだあげくに、見つけた自分なりの正解論。もはや意気衝天(笑)。

シューケア〜トリッペンをカスタマイズ?〜

トリッペン用クリーム
私は靴を購入後、まずシューケアをします。「新品やのに?」って思われる方もいらっしゃるでしょう。でもよく考えてみてください。製造工程を経て完成された靴にはもちろんシューケアが施されます。その後、工場を出て問屋さんへ。そこからショップ。店頭から私たち消費者の手元に届くまで約数週間、いえ、数ヶ月などというものもざらではないでしょう。その間に革の潤いは失われていきます。なので購入後にはすぐシューケアです。

それでは、この間購入したトリッペンにお化粧です。今回使用したシューケア用品は、「モゥブレィ/ステインリムーバー(汚れ落とし)」と「モゥブレィ/デリケートクリーム」。
アッパーの質感はマットなブラウンで、クリームがよく染み込んでいきそうな革です。普通ならアッパーと同色かそれより少し薄い色のクリームを使うのですが、それだと今よりも艶が出てきそうだったので、今回はあえてソフトレザー用の無色を塗って、マットな感じに仕上げてみようかと。履き込んでいって、使い古した感じになってきてから、同色かそれより少し濃い色で仕上げるとアンティークっぽい風合いになるかなと。

今回はまず軽く埃を落としてから、ステインリムーバー(画像左)を布に取り、古いクリームや汚れを落とします。その後、今回はデリケートクリーム(画像右)を使い、靴に塗り込んでいきます。そして最後は空拭き。デリケートクリームは乳化性の靴クリームよりも、つやのもとであるロウ分が少ないため(水分が多いため)、自然な風合いを出すのにはもってこいです。私はかなりの頻度でこれを使います。

持論になりますが、靴クリームのチョイスは好みの問題で、購入した靴を自分のスタイルに合わせてどうカスタマイズするかって事だと思ってます。なので、今回のトリッペンのカスタマイズ計画は、マットな風合いをしばらく楽しんで、クタクタになってきたらダスキーブラウンあたりの色でツヤをだしてアンティーク調に(笑)。簡単な事なのですが、これで靴の表情が変わってくるのですから不思議で楽しくて。

いやいや、革や靴。
のめり込むと抜け出せません。

製靴塾日記 2006.10.2~10.6

ハンドメイドの靴に触れ、もっと靴や足の事を知りたい。『良い靴』を作りたい。そんな思いを胸に、西成製靴塾に10月から途中入塾。無理を言って入れてもらいました。三十路にて塾生、日々奮闘日記などをこれから書いていこうかと。


2006年10月2日(月)
のっけからマッケイ、マッケイ言いながら中底を削る。柄にもなくメモ長などを持ち出しメモる。脳みそは三十路にしてフル回転。あまりにも考えすぎて久々に酸欠にて本日終了。

2006年10月3日(火)
ミシン、ミシンと曲がりきれぬカーブにて脱線。午後になるも延々と脱線、日暮れまで。本日支給された革を使い切り、帰り際、補充された裏革。明日こそはと涙飲みながら岐路へ。

2006年10月4日(水)
今日も朝からミシン。断つ→縫う→さらうをずっと繰り返すも進歩なく、口をついて出ることばは「悔しい・・・」ばかり。帰り際、そんな三十路に我が師が一言「稽古したら稽古したぶんだけ上手になんねんで。」と、ポンと肩たたかれる。帰り道、やはり悔しくて悔しくて、一目はばからず溢れ出す涙。

2006年10月5日(木)
ナントカ、カントカ甲革1足つくる。出来上がったシロモノ、見るに絶えずガマンならずもう一足つくる。故仰木彬氏の座右の銘「信汗不乱」が頭をよぎる。そう、稽古は裏切らへんのです。けいこ、けいこ、けいこ・・・。いえいえ、人の名前やありまへん(笑)。

2006年10月6日(金)
得意のつり込み。水を得た魚とはこういう事なのでしょうか。床ベロアにホワイトボンドつけ、カウンターにいれてつり込む。わにのあたま、あまりにも幅広く細かいダーツを作れないので塾終了後、師とともに削る。道具を自分なりに合わせていくというのは実に楽しい。削りながら師とともに笑う。至福のとき、味わう。

職人ことばの「技と粋」

「職人ことば」
この本は、直接靴に関わるそれではなくて、旋盤工、鍛冶職人、大工などの「ことばと粋」が詰め込まれています。読み進むにつれ、寡黙な職人さん達のモノをつくる意気込みや智恵、考え方を靴作りに置き換えてみれば、なるほど。「つくる」事のおもしろさや奥深さを再認識させられるのでした。

そこで、この世界で8年、見習工ではないのだけれど、職人でもない。いわば「半職」の僕に、本書の言葉をかぶしてみたらこうなった。

◎裁断場にて急ぎのアッパーを断ち、ミシン工さんの所へ。無事、その日中に靴になってホッとした後に気づいた。さっき断ったアッパーの中敷きがない。ついでに断っとけばよかったな、とまた裁断場へ。性懲りもせず『空足(からあし)』をするのです。

◎就業後、明日の段取り。アッパー、底、ボール(中底)、ヒール・・・。訳分からぬ言葉、ブツブツ言いながら数時間。これを怠ると次の日、貼り場は修羅場へと換わります。『段取り八分』とはよく言ったものです。

◎「がんばれ、おい、もっとがんばれ。」トゥー・ラスターに向かって気合い注入(笑)。いつも同じ部位に不具合が出て、上手くつり込めません。機械屋を呼び、治してもらっても、次の日にはまた同じ。そんな状況を見ながら本書の「ことば」を思い出しました。『機会は上手や。くたびれへん、汗出しよらん、涙も出さへん、(そやけど)失敗を肝に銘じよらん。』 

職人ことば、粋なことば。意味を知れば知る程わくわくしてきますし、少しずつでもそこへ近づいていきたい。そんな思いを馳せながらね。

トリッペンの履き心地

トリッペンの皺
トリッペンを購入して約一週間が経ちました。今週は外出する機会が多く、一日おきに履いていました。画像では分かりにくいですが、少しだけ履き古したカンジが出てきたかなと。特に甲の部分と、踵からくるぶしにかけて。

履き心地はやはり良いです。アッパーの革は「伸びた」というより「なじんだ」という感じです。一週間にして足に「なじんだ」のは、おそらくアッパーに裏革(ライニング)を施してないからなのでしょう。足が疲れやすい体質の僕にコイツはすぐにフィットしてくれたので、この一週間さほど疲労感もなく、快適に歩行できたのではないかと(感謝感謝)。

そんな新しき相棒。もっともっと履き込んでトゥーが反り上がって皺だらけになって、そんでもって、じいちゃんの顔みたく、目尻にシミなど出来てたり(笑)・・・。

ステキな靴と一緒に、ゆっくり歳をとっていければねぇ〜

トリッペン「SCOOTER」

トリッペン
神戸の直営店にてトリッペンの靴購入。とても丁寧な接客で、心地よい時を過ごさせて頂きました。ブラウン系のチャッカブーツを何足か試着。「SCOOTER」という画像の靴を購入。なごみ系(?)な甲から踵にかけてのライン、張り出したコバは少し太めのパンツを履いても存在感バツグンです。アッパーの質感はしっとりとしていて履いていく度に味が出そうな革ですね。
そしてなにより驚いたのが、ジャストサイズで履いた時の中底のフィット感。内側のアーチは程よくサポートされていて、長く歩いても疲れないのだろうなと思います。ワイズ(足の横幅)は広めにとられていて、指は程よく自由な状態。踵の体重がかかる部分は少しくぼんでいるので、なんだか靴に包み込まれている感じがします。店内で少し歩かせてもらいましたが、踵がしっかりホールドされていてグスグスと動かないので、靴擦れの心配もさほどなさそうです。

私の場合、左と右のの足長は7ミリ程違い、左足の方が長く明らかに肉厚です。その旨を店員さんに伝えると、従来靴に入っているインソールよりも薄いものを左足に試してみては、との提案や、アッパーが伸びて中で足が遊ぶようになってしまった時には中底とインソーールの間にフェルトを入れてみては。などなど、とても良きアドバイスを頂き、目からウロコの楽しい一時でした。

帰り道、もう我慢できなくて、買ったばかりの靴に履き替えて帰路につきました(笑)。帰宅後、靴を脱ぐと革のにおい、いいですねぇ。クリームにてケアした後、いま、私の膝の上にいます。明日から歩くのが楽しみです。

笑わない靴

足を挿入するトップラインが崩れて、足首に添っていない状態のことを「笑う」と言います。足に靴がフィットしていないものですから、靴の中で足はぐずぐずと動きます(特に踵周り)。歩行中それを回避する為に、どうしてもぎくしゃくした歩行姿勢になり、靴擦れや疲労も多く、足の変形の原因にもなりかねないので、作る方はやはり気を使って作業しなければなりません。

よく靴屋さんで、多くの人がフィッティングしたあとの靴を見ると、笑っている靴に出くわすことがあります。そういう靴は設計自体に問題がある恐れもありますので、そのデザイン自体(色違いも含め)購入を控えた方がいいです。
しかし、新品の時にはピンと張ったトップラインも何回か履くと笑ってしまうという状況に出くわすこともあります。つり込み不良や、紙型のまずさなど原因は何点かあげられるのですが、購入時、それを判断するのは困難なことだと思います。

そんな中、購入時に、お店でも感単に笑う靴かそうでない靴かを見分ける方法はあります。
まず、靴を平らな所に置きます。その時、トップリフト(ヒールの底面)が平行か、もしくはほんの少しだけ踵側に隙間があるのなら大丈夫。逆に、トップリフトのつま先方向に隙間がある場合は要注意です。試しに靴の中に手を入れ、踵部分を押し込んでみてください。トップラインが撓んでいるのがわかるとおもいます。

話は変わりますが、ある現場でこんな話があったそうです。
笑った靴を出荷しろと営業サイド。いやちょっと待てと現場サイドは必死に食い下がります。結局、押し問答の結果、悲しいかな箱詰めされ出荷されてしまいました。そこで現場のオバチャン連中「アホちゃうか、なに考えとんねんなアンタら。見てみ、靴も笑とるがな!」ですって。そもそもの原因は紙型の問題もあったようで、現場サイドはそれをフォーローする形で貼らなければならなかったのですが、なかなかうまく行かなかった。この道ン十年の貼工さんにはプライドがありますから、必死に食い下がったのですが・・・

私が見てきた限り、こういった現状は少なくないような気がします。
何とかしたいです。ホントに・・・
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